裏世界ピクニックはパクリ！？元ネタがあるって本当？

2021年1月からアニメが放送予定の、宮澤伊織先生による人気小説『裏世界ピクニック』。

そんな『裏世界ピクニック』ですが、Googleで検索してみると「パクリ」の文字が。

『裏世界ピクニック』がパクりというのは本当なのでしょうか？

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『裏世界ピクニック』とは？

『裏世界ピクニック』は陰キャの女子大生・紙越空魚（かみこしそらを）と金髪美女・仁科鳥子（にしなとりこ）が「裏世界」でお宝探しをする……といった話です。百合要素もあり、そちらのファンの方にも人気のもよう。

よく誤解されるのですが、本作は「小説家になろう」に掲載された小説が原作となった、いわゆる「なろう系」ではありません。

『裏世界ピクニック』における「裏世界」は「なろう系」でよく舞台にされる「異世界」とはかなり性質が異なります。「ピクニック」から連想されるようなほのぼのとしたファンタジー系作品をイメージしているとギャップに戸惑うことになります。

さて、そんな『裏世界ピクニック』はパクリなのでしょうか？

結論から申し上げますと、『裏世界ピクニック』はパクリではありません。

ではなぜパクリ扱いされてしまったのでしょうか？

これにはいくつか理由があると思います。

実は『裏世界ピクニック』には作者の宮澤伊織先生が「影響を受けた」と公言している作品があります。

それがロシアのSF作家・ストルガツキー兄弟の『ストーカー』。何が起こるかわからない謎の地帯「ゾーン」からお宝を持ち出そうとする男たちの話です。

外部リンク→実話怪談で、現代女子版の『ストーカー』を書きたかった。『裏世界ピクニック』宮澤伊織インタビュー完全版

また、同作をオマージュした『S.T.A.L.K.E.R. SHADOW OF CHERNOBYL』というPCゲームにも影響を受けたとのこと。

ちなみにこの『ストーカー』、英訳版は『Roadside Picnic』というタイトルになっています。日本語だと『路傍のピクニック』。このタイトルからも『裏世界ピクニック（Otherside Picnic）』の元ネタとなったのは明らかでしょう。

このように、影響を受けただけの場合は「パクリ」ではなく「オマージュ」といいます。芥川龍之介の『蜘蛛の糸』もポール・ケーラスが1894年に書いた『カルマ』が材源だったりしますし、古典を題材とした作品は昔から現在まで多くあります。

まあ人によっては「パクリ」のように感じてしまうのは仕方ないのかもしれませんが……

パクリ扱いされがちなもう一つの理由は、『裏世界ピクニック』における「裏世界」で登場する怪異にもあると思います。

「裏世界」は得体の知れないクリーチャーや、命の危険があるトラップも設置された危険な世界。ここで登場する怪異はいわゆるネットロアをモチーフとしています。

序盤で登場する「くねくね」「八尺様」「きさらぎ駅」はいずれも2000年代前半にネット掲示板・2ちゃんねるで話題となった怪談がモチーフです。特に「きさらぎ駅」は今でも話題になることがあり、知名度は高め。

このように、実在した怪談や都市伝説をモチーフとしていることをパクリ扱いされている部分があるのでしょう。

『裏世界ピクニック』はストルガツキー兄弟の『ストーカー』をオマージュした作品です。ネットロアをモチーフとしていることも含め、パクリ扱いされがちなもよう。

アニメ化によってさらに人気が出そうな『裏世界ピクニック』。実は既にコミカライズもされており、水野英多先生の作画で「月刊少年ガンガン」にて連載中です。
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